“文学少女”と慟哭の巡礼者
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“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫 の 2-6-5) 著者:野村 美月 |
【9/10】
・あらすじ
新年を迎え、心葉は琴吹ななせと二人で初詣に。
着物をかわいいと褒められて照れるななせ、大凶のおみくじを引いてもう一度引くと意地になるななせ、一生懸命に何かをお祈りするななせ。
そんな彼女を見るにつけ、より惹かれていく心葉。
遠子先輩の大学受験が心配だけれども、そんなこんなで新年は順調な滑り出しといえた。そう、あの人と再会するまでは―
・トラウマ登場
今回は、心葉のトラウマの元凶、彼の前で学校の屋上から飛び降りた心葉の中学時代の想人、井上美羽が登場。前々からヤンデレ臭漂う娘っぽい雰囲気を醸し出してましたが、予想に違わぬヤンデレ娘。
虚言を弄しまくり、ななせとの関係も、親友の芥川の関係にも揺さぶりをかけ、心葉を精神的に追い詰めていく様は悪女そのもの。
体が不自由なことを餌に、心葉に足の爪を切らせた流れで足にキスさせようとしたり、飛び降りのトラウマを利用してななせの前でどっちを信じるの?私を信じなきゃ飛び降りる!なんてノリで、もう心葉のライフポイントはゼロよー。
しかも、終盤車に飛び込んで、記憶喪失になったふりをして心葉をがんじがらめにしようとしたりとか、もう見事なまでに病んでます。
そんな状態での遠子先輩は地獄に仏。誰だってあんな人が身近にいたら泣きついて全部ぶちまけてしまいます。聞くべきことは聞いて、聞きたいことは聞かない人と某ツッコミ達人がいたらそう評す人物ですよね、遠子先輩は。
・泣きそうになった
やばい、やばい。
心葉が井上ミウのペンネームで、美羽に内緒で小説を投稿した理由。
井上美羽が心葉を憎む理由。協力者Bの正体。
カムパネルラの望み。心葉が宮沢賢治の物語を聞くと吐き気を催す理由。
「銀河鉄道の夜」の解釈。
これらの伏線が、“文学少女”の語りによって解消されていく過程は実に見事で、終盤の雨ニモマケズからは涙腺が危なかったよ!
野村美月という作家はコンプレックスや憎しみなど人の醜い部分をどうにも愛おしいもの、美しいものに魅せてくれますね。うーん、すごい。
きっと感情の根底にあるものが、誰もが願って当然のものだからですかね?
臭っ!ギップルがいたらものすごい顔されてそうだ…
・というわけで、
実に実に面白かった。最終的に美羽が救われて本当に良かった。
あそこまで病んでる娘を書いたうえで、きっちり救う結末を用意した作者に万歳三唱。そういうわけで、今後の予定は短編を挟んだ後で最終回。最後はもちろんラスボス遠子先輩のはずで、トラウマを克服した心葉君が今度は文学少女を救う物語なのかなぁ。
・感想リンク
Alles ist im Wandelさん
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