« “文学少女”と慟哭の巡礼者 | トップページ | 魍魎の匣 »

屍鬼

屍鬼〈1〉 (新潮文庫) 屍鬼〈1〉 (新潮文庫)

著者:小野 不由美
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

屍鬼〈5〉 (新潮文庫) 屍鬼〈5〉 (新潮文庫)

著者:小野 不由美
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

【6/10】

・あらすじ
外界からほぼ隔絶されたとある山村、外場村。
土葬という古い風習をもつこの村に最近、洋館が移築されてきた。
しかし、転居人はいまだ現れず、不振に思う住民達。
その後、立て続けに起こる原因不明な人の死、死、死。
気づけば、村は死に囲まれ始めていた…

・登場人物三桁超えてる?
もう、とにかく登場人物が多すぎて人物関係の把握が大変でした。
主人公が不在というのもなかなか堪える。
内容は、タイトルと土葬設定を考えればお察し頂けると思いますが、あまりホラー&スプラッタな作品ではなく(終盤はあれでしたが)、価値観の共有できない相手に善悪を問えるか?とか、強制的に価値観を変えざるを得ない立場におかれた人間のそれぞれの態度、淀む人間関係に憎悪増々な心理、それぞれの住民の生き様を重視した作品だったかな。
因みにこの作品を読むきっかけは、漫画「それでも町は廻っている」三巻で、主人公の歩鳥が読んでいた小説、怪々屍鬼のパロの元ネタだったり。

・フラストレーションが…
何分長い上に、登場人物も多く、中々話が進みません。
しかも、ほぼ主人公格のキャラクターが原因が判明したにも関わらず、事態を放置するというとんでも行為をやった挙句、そいつは何気にハッピーエンドを迎えるという結末が腑に落ちず、最後までイライラしてしまいました。それと主要登場人物の中にやや短絡的な行動が目立ったのも原因だったかも。
それに屍鬼は人を生きるために殺さざるを得ない存在として描かれてましたが、あの設定だと人を殺さずに生きてけるんじゃないかな。一回の吸血で、止めればいい訳ですし。

・各登場人物雑感
室井 静信
主人公格キャラその1。そして多大なるフラストレーションを私にくれた男。
致命的だったのが終盤。大川が室井の母親達を惨殺したことが分かった後の彼の台詞。何が絶望ですか。事態を掴んでいたのにそれを放置し、村が滅ぶことを是とし、その是とした中には当然彼の母親や光男も含まれていることは、武藤の採った行動と比較すれば明らかなわけですが、静信と母親、寺のほぼ身内に近い連中との付き合いは良好でしたし、事実母親の死に彼は悲しんでいます。だからこそ簡単に崩れた秩序に絶望するより、簡単に身内の死を招くことをよしとしたこの男自身に彼は絶望すべきです。他にも色々この男には思うところがあるのですが、うまく文章化できそうにないので、断念。

尾崎敏夫
主人公格キャラその2。屍鬼に対して手段を選ばず立ち向かおうとした医者。
うーん、どうにも手段がうまくない。どうして女房にすらあそこまで思い切った覚悟があった割にはまるで生かせてない。というかなんで生きた証拠をあっさり殺しちゃうのさと、突っ込まずにはいられませんでした。そしてなぜ病院のスタッフ達に真相を告げなかったのか。途中や終盤でも語られてましたが、確かに彼は事態の中心にいて自分の存在意義を確かめたかったんでしょう。やる気のないクラスで一人頑張る、文化祭実行委員という立ち位置な人に見えました。

|

« “文学少女”と慟哭の巡礼者 | トップページ | 魍魎の匣 »

小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 屍鬼:

« “文学少女”と慟哭の巡礼者 | トップページ | 魍魎の匣 »